ブーツ
機材選びにはかなりこだわっている人にとってもブーツ選びは結構盲点だったりしますが、正直言って現在市販されているダイビング用ブーツにはあまり良いものはありません。
ということでダイビング用ブーツの抱える問題点と「こういうブーツが欲しいっ!!」ってな理想像を独断と偏見で。
さて、普通のブーツってばこんな感じ。 ぶっちゃけた話、ウエットスーツと同じ素材で作った靴です。 あとはサイドにチャックがあったりなかったり、色使いが違うとかいろいろあるようですけど、基本のデザインは大同小異。どこのメーカーの物買ったってたいしたちがいはありません。正直なところ。 |
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たとえばこれ。またしてもキタナイ足でごめんなさい。 泳ぐときってのはこうやって足首伸ばして泳ぐものなんですよ。 つまりダイビング用ブーツを履くときの基本姿勢はこっちだってこと。 なんでダイビングブーツってばどこのメーカーも全部が全部足首直角にそそり立っちゃっているんでしょ? もともと直角のものをこんな風に伸ばして使うからアキレス腱のあたりで生地がだぶつくんですよね。 |
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靴下だって足首は直角になんかなっちゃいませんぜ。
なんてことを書こう書こうと思っていたら、今年、GULLから足首に角度がついたモデルが出たみたいですね。 実は「ああ、めんどくさがらずに早く書いときゃよかったこれじゃ二番煎じだ」とか思ってますけど、これについてはしらんぷりして話を進めましょ。 |
さて、ほとんどのブーツにはこんな足首直角デザインのところにくわえて、アキレス腱のあたりに妙な補強なんかがはいっていやがる。
さっきも書いたけど、足首伸ばすとアキレス腱のところで補強入りのゴワゴワ生地がだぶつく。この生地が皮膚とこすれてイタイイタイ。
作業で8時間とか泳いでると夕方にはアキレス腱のあたりの皮がずるむけ。
痛いですよ。ホント。
「この補強がないとフィンのストラップがあたって・・・」とか言いますがね。フィンのストラップなんて脱げ防止の保険みたいなもの。フィットしたフィンをちゃんと使っていれば脱げてしまうことはありません。そんなにギチギチ締め上げる必要は無いんですよ。極端な話ストラップなんか無くたってかまわない。
ブーツがすれて消耗するというのなら補強を入れて対応するんじゃなくてフィンのストラップを緩めればいい。と僕は思う。
じゃ、要らん補強が入ってないモデルをってんで、たとえばクレッシーのB1ブーツとか履いてみますわな。
「しなやか」が売りのこういうモデル。
はっきり言ってしなやか過ぎ。
「しなやか」と「ペラペラ」を混同しちゃイカンのですよ。
柔らかくなくちゃいけないのは関節周り、つまり足首周りだけで十分です。泳ぐときに動かすのは足首だけなんだから。
このタイプのブーツは「しなやか」とか銘打って、足首だけじゃなく土踏まずやつま先までフニャフニャで靴底もペラペラのものがほとんど。
海から上がってブーツの中に水が溜まったときにそれこそ水ふうせんのように膨れ上がって歩きづらいったらありゃしない。
フィールドでの足の保護が目的なんだから歩いていて足の裏が痛いなんてもってのほか。船の上でフジツボの殻なんか踏みつけたらホントに怪我をする。これだったら水ふうせん状態にならない分だけただの靴下の方がマシだ。
と、ひととおり不満をぶちまけたところで、僕が欲しいと思うブーツの条件をあげるとこんな感じ。
・足首は直角ではいけない。いくぶん伸ばし気味のところが基本姿勢。足首を伸ばしたときにアキレス腱周りで生地がたるむようなものは皮膚がこすれて痛くなる。 ・アキレス腱のところの補強は絶対に入れてはいけない。こいつのおかげで仕事中にホントに泳げなくなることがある。たのむぜ、ホント。 ・同様に甲の中央に縫い目があると皮がズルむけ。縫い目を両サイドに逃がしてくれてある親切モデルがいい。 ・足首周りは思いっきり柔らかく、でもそこより下はがっちりと。足首から先はある程度しっかりと締めてくれてないと水がタッポンタッポン溜まって歩くことすらままならない。 ・靴底は硬い素材の方がいい。ブーツを履くのは歩きまわるため。歩くことを考えていないブーツなんて履くくらいなら厚手の靴下の方がよっぽどマシだ。 ・足首の丈は長めがいい。、足首をいっぱいに伸ばすし、潜るとスーツも縮むから、足首の前がペロッと出てしまう。これは寒い。 ・チャックは要らない。 |
で、こういう条件を満たした製品があるかってぇと、無い。どこにも。
モビーズのブーツがかなりいいセンいってるけど残念ながら足首の丈が短すぎ。惜しい。
そんなことを思っていたら、いつも世話になってるウェットスーツ屋UGOのオヤジさんも同じことを考えていたらしい。
「作っちまうか、オリジナル。」
僕としてはぜひぜひ作ってもらいたいのですが。
作るとなると型をおこしたりなんだりでだいぶお金がかかるのだそうで。サイズ別で全部型をおこさないといけないし。
なかなか実現は難しそうですなぁ。
なんてことを書いたのははやいものでもう2年も前のこと。
そして今、2004年3月、ついにUGOのオヤジさんがやってくれました。
「これでだいたい良いとおもうんだよな・・・」とオヤジさんが棚から引っ張り出してきたのがこれ。
上でリストアップした「僕が欲しいブーツの7条件」のうち、なんと6つをもクリアしている優れものです。
実際の生産はGULLに依頼しているとのことで、基本的なデザインはGULLのブーツと一緒、生地やソールの変更でより実用重視の味付けになってます。
生地の厚さは5mm。
GULLオリジナルの3mm厚ではさすがに冬場がツライのでこれはありがたい。
そしてソール。
GULLオリジナルにくらべてずっと厚いソール、そして土踏まずのガッチリとした補強。
陸上を歩き回ることを考えればこれはとても良い選択だと思います。
ブーツ自体がガッシリした分、内部に水がたまって水風船状態にならなくて済む。これは非常にありがたい。
内側はあったかリペルサーモ加工。
欲張って内側全体をリペルにせず、一部にジャージ生地を残すことで潜行時のつま先のスクイーズを軽減しているのだとか。
ウェットスーツ職人ならではの発想ですな。<かなり感心
UGOのオヤジさんと「こんなブーツがあったらいいね」という話をしてからはや2年。
だいぶ時間はたってしまったけど、はじめて納得して使えるブーツに出逢えた気がします。
興味のある方はウェットスーツ屋「UGO」へ直接お問い合わせくださいな。
サイズは22cmから27cmまで1cmきざみ。売れ行きしだいでは28cm以上の制作も検討中だとか。
価格は税込み6000円。消耗品としては結構手頃な値段なのではないかと。
問い合わせ先
株式会社ユーゴ
Tel 0465-69-1378
Fax 0465-68-1333
eメールもあるけどオヤジさん本人はほとんど使えないのだとかなんとか。
しかたないから電話かファックスで問い合わせてやっておくんなまし。
これはホントにいいモノ だと思う。
マジでオススメです。