まず「イメージ」ありき。
細かいことについてはおいおいお話ししていくとして、まずは下のアニメーションを見てください。
違い、わかりますか?
似てるけどまったく違う泳ぎ。トップスピードも、効率も。
まずは左側のアニメに注目してください。ひざや足首、フィンといった「動きの関節」になる部分に印をつけてあります。
よ〜く観察して。
どういう動きをしていますか?
ひざ、足首、フィンといったすべての「関節」が同じ方向に動いてますよね。
ひざが上がるときには足首もフィンも全部上がっている。
逆にひざが下がるときは足首もフィンも同時に下がっている。
これじゃぁいかんのですよ。
それでは今度は右側のアニメーションを観察してください。
ひざ、足首、フィン、すべてが独立して動いているのがわかりますか?
つまり、ひざはダウンストロークに入っているのにフィンはまだアップストロークしていたり、その逆があったりするということ。
これがダイビングマニュアルなんかに載っている「いわゆる普通のフィンワーク」と「ものまに屋流のフィンワーク」の違い。
よ〜く見くらべて、しっかりとイメージを頭に焼き付けておいてくださいね。
ダウンストロークも、アップストロークも、ひざから起こり始める。で、その「波」が順番に足首やフィンの先端に伝わっていくようなイメージです。
ひざ | down | down | down | down | down | up | up | up | up |
足首 | up | down | down | down | down | down | up | up | up |
フィンの中央 | up | up | down | down | down | down | down | up | up |
フィンの先端 | up | up | up | down | down | down | down | down | up |
フリッパーというのは「はい、アップストロークが終わりました、じゃこれからダウンストロークです」ときっちり区切れるものじゃないんです。
フィンのダウンストロークが終わる頃にはもうすでにひざが次のアップストロークに向けて動き始めている。
フィンのアップストロークが終わる頃にはもうすでにひざが次のダウンストロークに向けて動き始めている。
「キックの終り」と「次のキックの始まり」は重複していて切り離すことができないものなんです。
インストラクターがプールでやってみせる、ひとつひとつの動作を区切ってハッキリと強調させたいわゆる「講習泳ぎ」ではこのフィンワークは絶対に実現不可能です。
区切っちゃいかんのですよ。動作を。
いわゆる「アップキック」とか「ダウンキック」とかは、それ単体だったらキレイにできている人は結構いるものです。
でも、大切なのはそれらをつなぐ「間」。
たとえばインストラクターのみなさん。
マニュアルどおりの 「受講生にわかりやすい」 「キレイ」 な泳ぎってやつが癖になってしまっている方が多いみたい。
その泳ぎを観察してみると、パシャッ・・・(間)・・・パシャッ・・・(間)・・・パシャッ・・・とワンキックごとに動作を停め、キックとキックの間をきっちりと区切っている方が多いようです。
これはイカンですよ。
キックの「終わり」というのは次のキックの「はじまり」なんです。
キックの後半は次のキックの前半と重なっているというかダブっているというか・・・絶対に切り離すことはできないモノなんです。
ひとつひとつのキックを区切って独立させていては効率はあがりません。
ダウンストロークとアップストローク、それぞれの「間」を途切れさせずにできるだけスムーズにつなぐ。
「動作」と「動作」の「間」が一番肝心なんですよ。
ひざから起こった「波」が順番に足の先に伝わっていく。つまり、こんな2重の「波」がフィンの後ろに描かれるということ。
イメージって大切だよね、やっぱ。
このイメージをしっかりと頭に焼き付けたら、それぞれの動作のポイントについて少しずつお話ししていくことにしましょう。