2017/03/14記
2017年3月4日
いよいよ6年目ですか、富士スピードウェイミニバイク6時間耐久レースシリーズの2017シーズン開幕戦でございます
寒いです
3月に入ったばかりの富士山の麓はものすごく寒いです
例によって前日夕方から近くの市営キャンプ場入りしてましたが、冬期休業から明けたばかりの簡素な作りのバンガロー
石油のファンヒーターをいくら焚いても室温が全く上がらないという、ね
漁師稼業の私の仕事は早い時間に終わります
先にキャンプ場にチェックインして他のメンバーを迎えるポジション
早春の富士山麓の冷え込みに盛大にぼやきつつ、金曜日の仕事を終えて集まってくるメンバー達を順次迎え
長い夜にのんびりと酒を酌み交わし、馬鹿話に華を咲かせ
いつも通りの時間が過ぎる
しかし寒い
備え付けのペラペラの布団にくるまり、夜中に寒さで目が覚めること数度
次の冬期キャンプは自前でなにか追加の防寒装備持ってくることにしよう
明けて早朝、FSWに移動
途中の道路標識の掲示は現在の気温が0℃であるというておりますがどうしましょコレ
会場入りしてふと空を見上げれば白い物がチラホラ
雪じゃんこれ
まいったなあ
気休めにレインタイヤを引っ張り出して空気圧チェック
降雪コンディションに対してこいつが役に立つとは思えないのだがドライタイヤよりはまだマシか
こいつに換装しなきゃならんようなシチュエーションにならなければ良いが
マシンの仕様は特に変わらず
エンジンはほぼノーマル、ピストンとカムだけ変更した仕様
ざっとピットを見渡すと他チームの同じクラスのマシンはヨシムラ仕様が多いように見受けられます
カリカリに追い込んだヨシムラ仕様とではざっと3馬力くらいは違ってくるんじゃないかとこのエンジンを組んでくれたショップのオヤッサン曰く
しょせんミニバイクですからたかが3馬力とバカにできないんですよ
最大出力15馬力とかですからね
その中での3馬力はでかい
彼我の戦力差は15%近くにもなる計算です
さてどうしたもんか
KEIHIN CRMINI22 ヨシムラMJN
MJ#100 SJ#50
ファイナルは14:37
フロントダンロップTT93FGPソフトコンパウンド 0.13MPa
リアブリジストンBT-601SSミディアムコンパウンド 0.19MPa
この辺もいつも通り
あとはマシンの変更点と言ったら人間とのインターフェース関連を少し
メーターパネルを作り直し
視認性を上げるためにタコメーターを5センチほど上に移動し、その左右に時計とラップタイマーを配しました
あとは燃料タンク形状
時間を食われる給油の回数を減らすため9.5リットル入るキタコのビッグタンクを使用しているのですが、いわゆる普通の町乗りバイクの形状でしてね
ガツッとブレーキをかけたときに人間の体が前に持って行かれてしまうのを止めることができなくてしんどい、という指摘がチームから
2週間前の練習で試しにスタイロフォームを削った物をタンクの後方に細ロープとガムテープで固定してテスト
人によっては好評だったので本採用することに
ただこのままの雑な固定ではさすがに6時間はもたないだろうなってんで急遽市販のFRP製のタンクカバーという物を手配
ギリギリの納期で手元に届いたのがレース前日
仕事が終わってから前泊のキャンプ場に移動するまでのほんの数時間の間の突貫工事で取り付け
ボルト1本とあとはガムテープでの固定
結果としてはこの突貫工事がまずかった
その辺の詳細は後ほど
エントリー手続きやら車検やらを終えて8:30から30分間の練習走行
フロントのブレーキの感触がおかしいとの報告
ブレーキラインにエアでも咬んだかとエア抜きしてみるも改善せず
確認したらフロントホイールのアクスルナットの締め付けが不十分でした
ホイールに横方向の力が大きくかかったときに構造全体が歪んでディスクが傾き、ブレーキパッドを過度に押し広げていた模様
最近ボルトナットの締め付けミスが多い私
作業中、そして作業後のチェックを徹底せねばと猛省
9:05ゲートオープン
30分後のスタートに備えてコースイン
今回もスタートライダーは前回同様安定感抜群のレース巧者舟超氏
昨年は開始5分リタイアとかそういうのが続いたのでね
昨年走れなかった人を先に走らせておこう、そしたら早めに壊れてリタイアしてもなんてえかバランス取れるじゃん?という消極的な策でなんですが
9:30いよいよスタート
コース反対側にならべた車両にライダーが走り寄って飛び乗りスタートするルマン方式
エンジンの始動に失敗して後続車両に追突され大きな事故になってしまった我々のせいでエンジンは事前に始動させた状態からスタートするという変則ルマン方式になっております
その節はみなさんご迷惑をおかけしました
旗が振られると同時にダッシュダッシュダッシュ
マシンに飛び乗ってレーススタート
ここからはいつも通りウチのIT担当NORY君が公式の計時データから起こしてくれたチャートを元に展開を振り返っていきましょう
早朝の雪はそれ以上降ることなく路面はドライ
寒い時期のレースは参加率が低いためコースも比較的空いております
第1ライダー舟超氏、順調なスタート
と思ったら15分ほどでピットに帰ってくる
タンクカバーが脱落
膝の間に挟んで保持していたタンクカバーをホイッと手渡されそのまま再度コースイン
前日の突貫工事じゃ取り付けが甘かったか
やはり仕事は腰を据えてじっくりやらねばならぬ
その後は特筆するほどのトラブルもなく、30分で第2ライダーふぢやんに交代
ベスト38秒511 平均39秒278
この時点ですでに同クラス他チームとの差をハッキリと感じ始める
まわりが速い
これはキツいな
第2ライダーふぢやんはウチの最重量級
最大8%という急な登りがあるこのコースでのウチの非力なマシンとの相性は最悪
ベスト39秒972 平均41秒479
このふぢやんの走行中にサポートくぼしが盛大にやらかす
コース内はバイクが高速で走行しておりますので立ち入りは厳禁
走行中のライダーへの情報伝達はこの写真のようなコース脇に接地されたコンクリートの防壁の内側から「ピットに入れ」とか「残り10分」などのメッセージを記したサインボードを掲示して視覚経由で行うことになっております
この場所でふぢやんにサインボードを出そうとしていたサポートくぼし、隣にいた別チームのクルーにぶつけてしまいサインボードをコース上に落としてしまう痛恨のミス
思わず自分で取りに行こうとするくぼし
危ないからやめとけと制止しつつ、オフィシャルの運営クルーのもとに走る
ここはホームストレートのど真ん中
最終コーナーを立ち上がったマシンがスロットル全閉で駆け抜ける下り坂
コース内に許可なく立ち入ったウチのクルーが走行中の車両に接触なんてことになったらホントにしゃれにならん
走行中止を意味するレッドフラッグや注意を意味するイエローフラッグを出すことができる立場である運営スタッフの手で安全を確保してもらい回収してもらう
事故につながらなくてよかった
第3ライダーNORY君
ベスト37秒460 平均38秒600
このあたりからもうレースは安定局面に入り始める
100ccクラス5位
彼我の戦力差は歴然
ひとつ上、クラス4位のチームとはかろうじて3周差をキープするも差はまったく動かず
それよりも上の3台との差は時間と共に着実に広がっていく
それでも、なんとか一矢報いたい
裏の右の途中で早めにシフトアップしちゃって5速で引っ張った方が速いのでは?とか
3コーナーの進入は走行抵抗による減速を恐れずにもっとタイトに回った方が良いのでは?とか
順番に帰ってくるチームメイト達と順次意見交換
結果として、非力なマシンながらも全体的な速度といいますか、我々自体の展開はほぼいつも通りを維持できたのです
データからもそこまで我々の調子が悪かったとは思えないのです
周りが速い、ミスもしない、トラブルもない
圧倒的な戦力差があるという前提ではどうしても周囲の脱落待ちという戦術しか選択肢はなくなってしまうのですけどね
ここまで苦戦するとは思わんかった
まあこうなってくるとこちらとしても自分たちができることを着実にこなしていくしかないと開き直るしかないわけで
別の車両のタイヤ交換はじめちゃったり
一所懸命だけどガチガチ過ぎない
この適度な緩さがこのレースの魅力っちゃ魅力
非力なら非力で頭を使って走る
ダメだダメだと嘆くのではなく、今、手の中にあるものだけでなんとか工夫する
それが功を奏したか
途中、ウチの二人が以前のパワフルなヨシムラエンジン仕様の時を超えるベストタイムを記録
ただ、長続きしない
ギリギリの速度差の前走車の処理などというときにエンジンの力の無さを痛感する
あとちょっとだけ前に出られればなんとかなるのに、という局面があまりにも多すぎてね
逆に不要なブレーキかけて退くことの方が多い展開
全体的なペースはいらつくほど上がらない
耐えて、耐えて、じっと耐えて
6時間
結局、そのままクラス5位でフィニッシュ
125ccや2ストなどの他のクラスのマシンも混走するこのレースで総合7位、なのにクラス5位って今回の100ccクラス激戦過ぎです
ゴール後の撤収作業はクラス最速
撤収力には定評ありの我がチーム
近所の温泉施設にサクサクと移動して冷えと疲労でこわばりきった体をほぐす
珍しく雲は無く、富士山が夕日に綺麗に浮かび上がっておりました
暖かい湯の中で早くも筋肉痛の兆候を示し始めたもも裏や背中をさすりながら一日を振り返る
足りないものが手に入らないと嘆いても意味はない
不利な条件を受け入れる
その上で今その手の中にあるものだけでなんとかする
少しでも良い結果になるように工夫し、試行錯誤する
それこそがレースの醍醐味なんじゃないかと
しばらくはこの非力なノーマル準拠エンジンでの運用を続けてみようと再確認
お世話になってるショップのオヤッサンは「遅いマシンの方が考えて工夫するから結果的に上手くなる」と言い切る
この運用を続けることでソフト面で得られる物はかえって多くなるのだと前向きに考えようじゃないか
次は2ヶ月後のカートコース戦
まだまだ走るよ