2017/05/28記
2017年5月21日
ミニバイク6時間耐久レース ミニろく 2017シーズン第2戦でございます
今回はカートコース戦
コンパクトなコースで右に左にとせわしなく旋回し続けるため、他のコースに比べてライダーの肉体的な負担は大きいのですが、ピットからコース全体を見渡す事ができるこのコースでのレースが私は一番好きです
ミニろくシリーズのレースの中でもカートコース戦が一番「草レース」っぽいというかなんというか
勝つとか負けるとかいうよりも、ただただ単純に「レースという雰囲気をみんなで楽しもうじゃないか」というこのお祭り的なイベント感がなんとも大好きなワタクシなのでございます
いつもどおり近所の市営キャンプ場で前泊しての会場入り
他のイベントと重なったようでゲート前はなかなかの混雑
受付やらピットの設営やらの準備を終えましていよいよスタート前の整列
この記事は他人様に読んでいただくというよりもむしろ我々の身内が後々忘れてしまった事を思い出すための備忘録的な扱いでありますからして
例によって今回の仕様を書き記します
ヨシムラ仕様で壊しまくったエンジンは現時点ではほぼノーマルに戻ってます
ノーマルピストン、ノーマルヘッド
カムだけキタコのハイカムに変更
今回はスロージェットを#45とわずかに絞ってみたのだけどこれは失敗でした
スロットルの開け始めでわずかに息付きを起こしてまして
次は#50に戻します
ホイールは12インチ
ひと月ほど前から17インチ化のテストを繰り返しておりましたが、いまだテスト不足の感は否めず
このカートコースにおいてはあえて17インチ化するメリットを感じられないとの意見多数につき、従来どおり12インチのままで走る事にしました
リアサスはセッティングを大きく見直しました
スプリングと減衰特性の変更
もともとは体重が重いライダーが多いウチのチームで、リアサスがフルストロークしきっているという問題を何とかしようと取り組みはじめたこと
いつもお世話になっている埼玉のレースショップにお願いしてサス内部のシム交換による減衰特性の変更とスプリングの交換
これはアタリました
かなり走りやすくなりましたね
でもレース後のチェックであいかわらずサスがフルストロークしきっているという事が発覚しまして、スプリングレートは後日あらためて変更することになりました
あと変えたことといったらチェーンのサイズかな
いままで420というサイズのチェーンを使っていたのですが、回転系の軽量化ということで415サイズのチェーンに変更
並べてみるとこれだけ違う
上が415で下が420
まるで自転車のチェーンのようだ
当然スプロケットもそれに対応する415サイズにコンバート
公道を走る車両ではタイヤでも何でもとにかく太い方が偉い、みたいな風潮があるようですが
「必要十分」ならばできるかぎりコンパクトな方が良いと私は思うのですよ
伝えるべき動力に耐える強度を確保できているのならばチェーンだってタイヤだって軽くてコンパクトな方が良い
バイクの「見た目」を最優先してとにかく太いタイヤやらチェーンやらに換装するいわゆる「盆栽系」という楽しみ方も世の中にはあるようですが
個人的にはこの「盆栽系」にはまったく興味が無いワタクシなのです
競技用バイクはとにかく走ってナンボ
出力が小さい小排気量バイクにデカいタイヤやらチェーンやらをつけることになんの魅力も感じません
コンパクトにするぶん耐久性は下がるのでその分マメに交換しなきゃなりませんけどね
そんなこんなでいよいよスタート
コース反対側からマシンまで駆け寄ってスタートするルマン方式
スタート直後の混乱を上手く抜け出した我がチームがホールショットを決めまして、トップで最初のコントロールラインを通過
親指だっておもわず上がりますわな
6時間という長丁場のレースである事を考えますとこのホールショットには何の意味も無いのですが
まあ景気づけには最適と言いますか
なんとなく盛り上がりますゆえ
推奨、推奨w
この写真でも確認できますが、今回の我々のマシンのフロントカウルには小さな小さなステッカーが貼ってありました
ゼッケン#69をあしらったステッカー
ロードレースの世界最高峰、motoGPの2006チャンピオン、ニッキーヘイデン氏を意味する物
今回のレースの直前に自転車での交通事故で重体になったとの報道に接し、氏のファンであるウチのNORY君が急遽制作してきました
氏の無事を祈るということを意味する、レース界における慣例といいますかね
「我が魂はアナタと共にある」という一種の決意表明ですね
このレースをアナタと共に走る、という意思の表明
残念ながら、レース後の月曜日に氏の訃報に接する事となってしまいました
R.I.P.
偉大な功績を残したニッキーヘイデン氏の冥福を祈る
ついでに言うとウチのゼッケンナンバー#34は私自身が大好きなケビンシュワンツ氏が由来
ミーハーですまんの
1991年ドイツGPの最終ラップで繰り広げたウェインレイニーとの大接戦をテレビの前でこぶし振り上げながら応援したもんです(年寄りの昔話
で、肝心のレース展開
常に旋回し続けなければならないコンパクトなコースでのレースにおける体力消耗を鑑みまして
今回は4名のライダーが各自22分半×4回走行という細切れなスケジュール
スタート直後の混乱を制した第1ライダーNORY君が暫定的に総合トップを維持
同じ100ccオープンクラスの#69アームロックさんのところのエースと接戦を繰り広げる
こちらはほぼノーマルエンジン
あちらはヨシムラキット使用
エンジンのパワーでは明らかに向こうに利がある
このカートコースの100mほどの短いストレートエンドで2車身以上の差を付けられるほどの圧倒的なパワー差
スタート10分ほどでトップの座を奪われる
出力という目に見える圧倒的なメリットを敢えて捨てさり、頑丈さを優先した我々のほぼノーマルエンジンでこれをどう攻略するか
などと考えている間に18分ほどで#69が予定外の緊急ピットイン
どうやらシフトペダル周りのボルトが振動で脱落したもよう
この予定外のピットストップの間にせいぜい差を広げさせていただくこととする
数分の貯金を蓄えたところで第2ライダーのふぢやんに交代
NORY君の体重が50キロちょいで、このふぢやんの体重が90キロ
ラップタイムが低下
チーム内でのライダーの体重差が2倍弱
サスペンションなどのセッティングを担当している私泣かせのチーム構成
すべてのメンバーにベストのセッティングを提供する事ができない
チームのすべてのメンバーそれぞれになんかしらの項目で我慢してもらってるのが現状
すまんの、力不足で
車両の修復を終え、猛烈な勢いで追い上げてくる#69
割り当ての持ち分を走りきったふぢやんからマシンを受け取った私、そして最終ライダーのくぼし、とつなげていく流れの中、最終ライダーくほしの時点でとうとう追いつかれる
22分の1走を終えた時点ですでにそうとうな消耗具合のくぼし
とにかく暑いというか熱い
ジリジリと痛みすら感じる日差し
体力がジワジワと削られていく
湿度が低いのがせめてもの救い
トップから陥落した総合2位で第1ライダーNORY君にシフト
軽量を活かした快走で再びトップを奪い返す
続いたふぢやん
暑さによるストレスで途中で電池切れ
目に見えてガクッとペースが落ちる
それでもなんとかそこから4時間はトップを維持
こまめなライダー交代、そして給油
なにかと忙しくなるピット作業を支えてくれる「永遠の裏方」スギ
いつもすまんな
感謝しているぞ
5時間経過
体力電池切れしてペースがガタ落ちしたふぢやんを他のチームがとうとうとらえる
2スト85ccクラスの#5にトップを奪われ、その直後に同じ100ccクラスの#69にも追い抜かれる
総合3位
ここで私の出番
設定を変えたリアサスが良く働いている
車高が高く感じる
限界を超えてスリップしはじめる後輪の感触をより高感度で感じる事ができる
走行ペースが上がる
この時、我々を抜き去った#69のおやっさんがウチのピットに挑発に来ていたらしい
#69のオヤッサンはとにかく愉快な人でね
どんなレース展開であっても「あきらめないで頑張ろーぜー!レース盛り上げてこーぜー!」と敵である周囲のチームにも分け隔て無く顔を出して、ちょっと方向がずれてるけども決して不愉快でない気遣いをしてくれる親分肌の良いオッサン
そのアームロックのオヤッサンに挑発されたゆえか全員がピット前に出てきて走っている私をけしかけてくる
もっとペースを上げろ、と
目の前を走る#69をパス
これで総合2位
ピット前に出てきていた他のメンバーが両手を挙げて盛り上がっているのが見える
かなりの接戦なんだな、と
体力を使い果たして終えた最後の走行
倒れ込むように最終ライダーくぼしにマシンを託して私の役目は終了
#69がレース序盤にメカトラブルおかしたことで手に入れた数分ぶんの貯金をなんとか維持するレース展開
エンジンパワーはあちらの方が圧倒的に上
追いつかれないようにとにかく祈るだけ
例によって#69のオヤッサンが挑発ついでに様子を探りに来る
ついでに相手の情報も落としてくれて行ってくれる
我々はすでに最終ライダー
あちらはあと一回ライダー交代のためのピットインが控えている
勝ったな
この時点での差は数十秒
ピットインに要するタイムロスなどを考慮しても余裕は十分
その辺も考慮した上で送り出した最終ライダーくぼし
最終的にはクラス2位のチームとは19秒差を保っての結果十分なレースだったのですが
余裕かませ過ぎて最終ラップのゴール直前で総合トップのマシンに追い抜かれる痛恨のミス
これであと1周回れるはずだったこのレースがその場で終了
「カッコイイゴールの瞬間の写真を撮ってくれ」と我々に頼んでピットを出て行ったくぼし
「カッコイイゴールの瞬間にどういうポーズをとろうか」とか考えながら走っている最中に総合トップのマシンに追い抜かれて予定よりも1周早くゴールしてしまったといういたって冴えない展開
冴えなすぎるぞくぼしいいいいいw
こうして戦いきった第2戦
最終的な結果は総合2位、100ccクラス優勝
表彰式ではノンアルコールのシャンパンといういわゆる炭酸砂糖水をお互いぶっかけあういつもどおりの展開
「俺たちの戦いはこれからだ」などと、手渡されたシャンパンのボトルをしきりに振りながら、打ち切り直前の少年マンガのようなセリフを吐く、となりのチーム代表
ジワリジワリと後ずさり、気がつけば私以外誰もいなくなっている表彰台
そして運営からかけられる一言「それではシャンパンファイト!どうぞ!」
全力で炭酸砂糖水をぶっかけあうオッサン
全力で逃げ惑うオッサン
すっ飛んでくるシャンパンの栓をその身にくらいながらも決してカメラをぶらさず撮影し続けるオッサン
多くのオッサンの共演により得られたなんともシュールな画がこちら
草レースというものは勝っても負けても楽しいもので
「あーっ!今日も一日よく遊んだなあっ!」
レース後に立ち寄る温泉で大きく伸びをしながらはき出すひと言
これがすべてを物語っているのです
「勝ったから楽しい」のではないのですよ
しょせんは草レースなんですから
勝った負けたにはたいした意味は無いのです
その1日を
その休日を
全力で楽しめたか否か
それが
それこそが
草レースのすべて
40代
世に言う働き盛り
毎日毎日神経すり減らして
一所懸命働いて
なんとか確保した貴重な休日
それを全力で遊び倒す
それこそがこの1戦が持つ最大の意義
レースの勝ち負けなんてのはそれに付随するささやかな薬味程度の物でしかないのです
今日も1日、よく遊びました
いい歳したオッサン達がより集まって、全力で遊び倒したという、ただそれだけの1日
だけど他には決して代えようのないかけがえのない1日
いつか体が動かなくなって、バイクにも乗れなくなったときに
なつかしく思い返すのでしょう
この日、この時、自分自身が持てる力をすべて振り絞り、ただひたすら全力で遊び倒したこの1日のことを
老け込むにはまだ早いオッサン達が寄り集まってグダグダと笑って過ごした、たわいもないこの1日の休日のことを